本の紹介「死刑」
DATE:08-03-05 Category:Books
死刑という、あまり考えたくもない題材を、 被害者や法廷関係者でもない、まったくの部外者の著者が、3年間かけて調べ抜いたドキュメントです。
筆者は多くの人(死刑囚含む)に話を聞き、最後に結論を出しています。
「刑場に入ってお茶菓子を食べて、時計を見ながら『さあ』って言われたそのときに足腰が立たなくなる。 (中略) そういうときは刑務官が両脇を抱えて吊るすようです。場合によっては座り込んで動かんようになってしまって、刑務官がお尻を蹴る場合もあるらしい」
たった今から「死ぬ」という状況の自分の感情を想像するだけで恐怖を感じます。 恐らくその恐怖は僕らが想像するものとはレベルの違うものでしょう。 周りの人はすべて自分を殺す為に存在し、あと数分後には自分は死ぬ。という状況なんて、正しく想像できるわけがありません。
二〇〇六年十二月二十五日に処刑された七十五歳の藤波芳夫は、高齢と長年の独房暮らしで足が弱り、車椅子の生活だった。あなたに想像してほしい。ひとりでは歩けない老人を絞首台なで連行し、車椅子から降ろしてロープに吊るすその光景を。
この行為を法律にのっとり、国家が行っています。 この老人は、死刑になる瞬間なにを考えたんでしょうか。 車椅子だからとか、老人だからではなく、国家の権力によって人の命を奪うという行為は、とても特殊で他の刑罰とはレベルの違う行為でしょう。
死刑執行の現場の話はどれも異常で恐ろしく、死刑囚の恐怖は想像を絶するでしょう。 でも忘れてはいけないことは、殺人犯は自分が処刑されるより突然、そして不条理に誰かの命を奪っているということではないでしょうか? 「人を殺した人間に人権なんてない」という考えが完全に間違っているとは思えません。
死刑に関しては気軽に反対か賛成かを自分の中で決めるつもりはありません。 被害者遺族の感情・冤罪の問題などなど、考えれば考えるほど、多くの問題があるからです。 この本を読んでますますわからなくなりました。
でも、いままで「あー、あの犯人死刑になったんだ〜」くらいでしかなかった「死刑」という制度への意識が明らかに変わりました。
是非ともこの本で、日本という国にある制度「死刑」に目を向けてみてください。
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